ウェブ デベロッパーは Shadow DOM を使用して、ウェブ コンポーネント用の区分化された DOM と CSS を作成できます。
概要
Shadow DOM は、ウェブアプリ構築における扱いにくさを取り除きます。扱いにくさは、HTML、CSS、および JS がグローバルであるという性質から生じます。この問題を回避するために、何年もかけて数多くのツールを開発してきました。たとえば、新しい HTML の id や class を使用するときに、ページで使用されている既存の名前と競合するかどうかは通知されません。些細なバグが少しずつ増えたり、CSS の特殊性が大きな問題となったり(!important
による指定のすべて)、スタイル セレクターが制御不可能になったり、パフォーマンスが損なわれたりします。他にもまだまだあります。
Shadow DOM は CSS と DOM を調整します。ウェブ プラットフォームにスコープ設定スタイルを導入します。ツールや命名規則がなくても、Vanilla JavaScript で CSS とマークアップをバンドルし、実装の詳細を非表示にして、自己完結型のコンポーネントを作成できます。
はじめに
Shadow DOM は、HTML テンプレート、Shadow DOM、カスタム要素の 3 つのウェブ コンポーネント標準の 1 つです。HTML インポートは以前はリストに含まれていましたが、現在は非推奨と見なされています。
Shadow DOM を使用するウェブ コンポーネントを作成する必要はありません。ただし、作成する場合は、そのメリット(CSS スコープ、DOM カプセル化、コンポジション)を活用し、弾力性があり、適合性と再利用性が非常に高い再利用可能なカスタム要素を作成します。カスタム要素が新しい HTML を(JS API を使用して)作成する方法であるなら、Shadow DOM はその HTML と CSS を提供する方法です。2 つの API を組み合わせて、自己完結型の HTML、CSS、および JavaScript でコンポーネントを作成します。
Shadow DOM は、コンポーネント ベースのアプリを構築するためのツールとして設計されています。このため、ウェブ開発に共通の問題に、次のような解決策を提供します。
- 分離された DOM: コンポーネントの DOM は自己完結型です(たとえば、
document.querySelector()
はコンポーネントの Shadow DOM 内のノードを返しません)。 - Scoped CSS: Shadow DOM 内で定義された CSS のスコープは、その Shadow DOM に設定されます。スタイルルールは DOM 外には適用されず、ページのスタイルが外部から適用されることもありません。
- コンポジション: コンポーネント用の宣言型のマークアップ ベースの API を設計します。
- CSS の簡素化 - スコープが設定された DOM とは、単純な CSS セレクター、より汎用的な id または class 名を使用することができ、名前の競合を心配する必要がないことを意味します。
- 生産性 - 1 つの大きな(グローバル)ページではなく、複数の DOM のまとまりとしてアプリを考えます。
fancy-tabs
デモ
この記事全体を通じて、デモ コンポーネント(<fancy-tabs>
)と、そこからのコード スニペットを使用しています。ご使用のブラウザで API がサポートされていれば、以下のライブデモを表示できるはずです。表示されない場合は、GitHub で完全なソースを確認してください。
Shadow DOM とは
DOM の背景
ウェブは HTML の使いやすさにより発展してきました。タグをいくつか宣言するだけで、数秒で表現と構造を兼ね備えたページを作成できます。ただし、HTML だけではそれほど便利ではありません。人間にとって、テキストベースの言語を理解するのは簡単ですが、機械には助けが必要です。そこで Document Object Model(DOM)が導入されます。
ブラウザはウェブページを読み込む際、さまざまな特別な処理を行います。そのような処理の 1 つは、作成者の HTML をライブ ドキュメントに変換することです。基本的に、ブラウザは、ページの構造を理解するために、HTML(テキストの静的文字列)を解析してデータモデル(オブジェクトまたはノード)にします。ブラウザは、このようなノードのツリー(DOM)を作成することで、HTML の階層を保持します。DOM の優れた点は、これがページのライブ表現であることです。私たちが作成する静的 HTML とは異なり、ブラウザによって生成されるノードには、プロパティとメソッドが含まれます。また、何よりもよいのは、プログラムで操作できることです。これが、JavaScript を使用して、直接 DOM 要素を作成できる理由です。
const header = document.createElement('header');
const h1 = document.createElement('h1');
h1.textContent = 'Hello DOM';
header.appendChild(h1);
document.body.appendChild(header);
このコードは、以下の HTML マークアップになります。
<body>
<header>
<h1>Hello DOM</h1>
</header>
</body>
背景については、これくらいで十分でしょう。では、Shadow DOM とは一体何でしょうか。
DOM… 陰にある
Shadow DOM は単なる通常の DOM ですが、次の 2 つの点が異なっています。1)作成方法と使用方法、および 2)ページの残りの部分との関係でどのように動作するかです。通常は、DOM ノードを作成し、ノードを別の要素の子として追加します。Shadow DOM では、要素に追加されているが、その実際の子とは分離されている、スコープが設定された DOM ツリーを作成します。このスコープが設定されたサブツリーは、シャドー ツリーと呼ばれます。Shadow ツリーが追加されている要素はShadow ホストです。<style>
を含め、Shadow で追加したものはすべてホスト要素に対してローカルになります。これが、Shadow DOM が CSS スタイルのスコープを設定する仕組みです。
Shadow DOM の作成
Shadow ルートは、「ホスト」要素に追加されるドキュメント フラグメントです。Shadow ルートを追加することで、要素がその Shadow DOM を取得します。要素の Shadow DOM を作成するには、element.attachShadow()
を呼び出します。
const header = document.createElement('header');
const shadowRoot = header.attachShadow({mode: 'open'});
shadowRoot.innerHTML = '<h1>Hello Shadow DOM</h1>'; // Could also use appendChild().
// header.shadowRoot === shadowRoot
// shadowRoot.host === header
ここでは .innerHTML
を使用して Shadow ルートに値を入力していますが、他の DOM API を使用することもできます。これがウェブです。自由に選択できるのです。
仕様では、Shadow ツリーをホストできない要素のリストが定義されています。要素がこのリストに含まれる理由は複数あります。
- ブラウザが既に、要素に対して独自の内部 Shadow DOM をホストしている(
<textarea>
、<input>
)。 - その要素が Shadow DOM をホストするのは合理的でない(
<img>
)。
たとえば、これはうまくいきません。
document.createElement('input').attachShadow({mode: 'open'});
// Error. `<input>` cannot host shadow dom.
カスタム要素の Shadow DOM の作成
Shadow DOM は、カスタム要素を作成するときに特に役立ちます。Shadow DOM を使用して要素の HTML、CSS、および JS を区分化することで、「ウェブ コンポーネント」を生成します。
例 - カスタム要素が Shadow DOM をそれ自身に追加して、DOM と CSS をカプセル化します。
// Use custom elements API v1 to register a new HTML tag and define its JS behavior
// using an ES6 class. Every instance of <fancy-tab> will have this same prototype.
customElements.define('fancy-tabs', class extends HTMLElement {
constructor() {
super(); // always call super() first in the constructor.
// Attach a shadow root to <fancy-tabs>.
const shadowRoot = this.attachShadow({mode: 'open'});
shadowRoot.innerHTML = `
<style>#tabs { ... }</style> <!-- styles are scoped to fancy-tabs! -->
<div id="tabs">...</div>
<div id="panels">...</div>
`;
}
...
});
ここでは興味深いことがいくつか示されています。1 つ目は、<fancy-tabs>
のインスタンスが作成されたときに、カスタム要素が独自の Shadow DOM を作成することです。これは constructor()
で行います。2 つ目は、Shadow ルートを作成しているため、<style>
内の CSS ルールのスコープが <fancy-tabs>
に設定されることです。
コンポジションとスロット
コンポジションは、最もよく理解されていない Shadow DOM の機能の 1 つですが、間違いなく最も重要なものです。
ウェブ開発の世界では、コンポジションとは HTML から宣言的にアプリを構築する方法のことです。さまざまな構成要素(<div>
、<header>
、<form>
、<input>
)が集まって、アプリを構成します。これらのタグの中には、連携して動作するものもあります。<select>
、<details>
、<form>
、<video>
などのネイティブ要素の柔軟性が非常に高い理由は、コンポジションにあります。これらのタグはそれぞれ、特定の HTML を子として受け入れ、それらに特別な処理を行います。たとえば、<select>
は <option>
と <optgroup>
をドロップダウン ウィジェットと複数選択ウィジェットにレンダリングする方法を知っています。<details>
要素は、<summary>
を展開可能な矢印としてレンダリングします。<video>
でさえも、特定の子を処理することができます。<source>
要素はレンダリングされませんが、動画の動作に影響します。魔法のようですね!
用語: Light DOM と Shadow DOM
Shadow DOM のコンポジションによって、ウェブ開発にさまざまな新しい基盤が導入されました。詳細を説明する前に、使用する用語を統一しておきましょう。
Light DOM
コンポーネントのユーザーが作成するマークアップです。この DOM はコンポーネントの Shadow DOM の外側に存在します。これは要素の実際の子です。
<better-button>
<!-- the image and span are better-button's light DOM -->
<img src="gear.svg" slot="icon">
<span>Settings</span>
</better-button>
Shadow DOM
コンポーネントの作成者が作成する DOM です。Shadow DOM はコンポーネントにローカルで、その内部構造と Scoped CSS を定義し、実装の詳細をカプセル化します。また、コンポーネントの使用者が作成したマークアップをレンダリングする方法を定義することもできます。
#shadow-root
<style>...</style>
<slot name="icon"></slot>
<span id="wrapper">
<slot>Button</slot>
</span>
フラット化された DOM ツリー
ブラウザが Shadow DOM の中にユーザーの Light DOM を配置した結果で、これにより最終生成物がレンダリングされます。フラット化されたツリーが、DevTools で最終的に表示され、ページにレンダリングされます。
<better-button>
#shadow-root
<style>...</style>
<slot name="icon">
<img src="gear.svg" slot="icon">
</slot>
<span id="wrapper">
<slot>
<span>Settings</span>
</slot>
</span>
</better-button>
<slot> 要素
Shadow DOM は、<slot>
要素を使用して複数の異なる DOM ツリーを合成します。スロットはコンポーネント内にあるプレースホルダで、ユーザーはこれに独自のマークアップを入力できます。1 つ以上のスロットを定義して、外部マークアップをコンポーネントの Shadow DOM 内でレンダリングされるように呼び込みます。基本的には、「ユーザーのマックアップをここでレンダリングしてください」と言っているのと同じです。
要素は、<slot>
によって呼び込まれていれば、Shadow DOM の境界を「越える」ことができます。このような要素は分散ノードと呼ばれます。概念上は、分散ノードは少し不思議に思えるかもしれません。スロットは物理的には DOM を動かさず、Shadow DOM 内の別の場所でレンダリングします。
コンポーネントはその Shadow DOM 内でゼロ個以上のスロットを定義できます。スロットは空にすることも、フォールバック コンテンツを提供することもできます。ユーザーが Light DOM コンテンツを提供していない場合、スロットはそのフォールバック コンテンツをレンダリングします。
<!-- Default slot. If there's more than one default slot, the first is used. -->
<slot></slot>
<slot>fallback content</slot> <!-- default slot with fallback content -->
<slot> <!-- default slot entire DOM tree as fallback -->
<h2>Title</h2>
<summary>Description text</summary>
</slot>
名前付きスロットを作成することもできます。名前付きスロットは Shadow DOM 内の特別な穴で、ユーザーはこれを名前で参照します。
例 - <fancy-tabs>
の Shadow DOM 内のスロット:
#shadow-root
<div id="tabs">
<slot id="tabsSlot" name="title"></slot> <!-- named slot -->
</div>
<div id="panels">
<slot id="panelsSlot"></slot>
</div>
コンポーネント ユーザーは <fancy-tabs>
を次のように宣言します。
<fancy-tabs>
<button slot="title">Title</button>
<button slot="title" selected>Title 2</button>
<button slot="title">Title 3</button>
<section>content panel 1</section>
<section>content panel 2</section>
<section>content panel 3</section>
</fancy-tabs>
<!-- Using <h2>'s and changing the ordering would also work! -->
<fancy-tabs>
<h2 slot="title">Title</h2>
<section>content panel 1</section>
<h2 slot="title" selected>Title 2</h2>
<section>content panel 2</section>
<h2 slot="title">Title 3</h2>
<section>content panel 3</section>
</fancy-tabs>
フラット化されるツリーは次のようになります。
<fancy-tabs>
#shadow-root
<div id="tabs">
<slot id="tabsSlot" name="title">
<button slot="title">Title</button>
<button slot="title" selected>Title 2</button>
<button slot="title">Title 3</button>
</slot>
</div>
<div id="panels">
<slot id="panelsSlot">
<section>content panel 1</section>
<section>content panel 2</section>
<section>content panel 3</section>
</slot>
</div>
</fancy-tabs>
コンポーネントは複数の異なる構成を処理できますが、フラット化された DOM ツリーは変わらないことに注意してください。<button>
から <h2>
に切り替えることもできます。このコンポーネントは、<select>
と同様に、異なる種類の子を処理するために作成されたものです。
スタイル設定
ウェブ コンポーネントのスタイル設定には多数のオプションがあります。Shadow DOM を使用するコンポーネントのスタイルは、メインページで設定することも、独自のスタイルを定義することも、ユーザーが規定値をオーバーライドできるように、フックを(CSS カスタム プロパティの形式で)提供することもできます。
コンポーネント定義のスタイル
Shadow DOM の最も便利な機能は間違いなく Scoped CSS です。
- 外部ページからの CSS セレクターは、コンポーネント内部には適用されません。
- 内部で定義されたスタイルは外部に影響しません。これらのスコープはホスト要素に設定されています。
Shadow DOM 内で使用される CSS セレクターは、コンポーネントにローカルで適用されます。実際には、この場合もまた、ページの他の場所との競合を気にせずに、一般的な id または class 名を使用できるということです。CSS セレクターをより単純にすることが Shadow DOM 内でのベスト プラクティスです。これはパフォーマンスの面でも優れています。
例 - Shadow ルートで定義されたスタイルはローカル
#shadow-root
<style>
#panels {
box-shadow: 0 2px 2px rgba(0, 0, 0, .3);
background: white;
...
}
#tabs {
display: inline-flex;
...
}
</style>
<div id="tabs">
...
</div>
<div id="panels">
...
</div>
Shadow ツリーにはスタイルシートのスコープも適用されます。
#shadow-root
<link rel="stylesheet" href="styles.css">
<div id="tabs">
...
</div>
<div id="panels">
...
</div>
multiple
属性を追加したときに、<select>
要素がどのように(ドロップダウンではなく)複数選択ウィジェットをレンダリングするのか、疑問に思ったことはありませんか。
<select multiple>
<option>Do</option>
<option selected>Re</option>
<option>Mi</option>
<option>Fa</option>
<option>So</option>
</select>
<select>
は、この要素に対して宣言された属性に基づいて、それ自身に異なるスタイルを設定できます。ウェブ コンポーネントも、:host
セレクターを使用してそれ自身にスタイルを設定できます。
例 - それ自身にスタイルを設定するコンポーネント
<style>
:host {
display: block; /* by default, custom elements are display: inline */
contain: content; /* CSS containment FTW. */
}
</style>
:host
に関する問題点の 1 つは、親ページのルールによる指定の優先度が、要素で定義されている :host
ルールよりも高いことです。つまり、外部のスタイルが優先されます。このため、ユーザーは外部から最上位のスタイルをオーバーライドできます。また、:host
は Shadow ルートのコンテキスト内でしか機能しないため、これを Shadow DOM の外側で使用することはできません。
:host(<selector>)
の形式の関数を使用すると、ホストが <selector>
に一致する場合に、ホストをターゲットにすることができます。これは、ホストに基づいてユーザー操作または状態、またはスタイルの内部ノードに反応する動作をコンポーネントがカプセル化するための優れた方法です。
<style>
:host {
opacity: 0.4;
will-change: opacity;
transition: opacity 300ms ease-in-out;
}
:host(:hover) {
opacity: 1;
}
:host([disabled]) { /* style when host has disabled attribute. */
background: grey;
pointer-events: none;
opacity: 0.4;
}
:host(.blue) {
color: blue; /* color host when it has class="blue" */
}
:host(.pink) > #tabs {
color: pink; /* color internal #tabs node when host has class="pink". */
}
</style>
コンテキストに基づくスタイル設定
:host-context(<selector>)
は、コンポーネントまたはそのいずれかの祖先が <selector>
に一致する場合に、コンポーネントに一致します。これの一般的な使用方法は、コンポーネントの周囲の要素に基づいたテーマの設定です。たとえば、多くの人が <html>
または <body>
にクラスを適用することで、テーマを設定しています。
<body class="darktheme">
<fancy-tabs>
...
</fancy-tabs>
</body>
:host-context(.darktheme)
は、.darktheme
の子孫である場合に <fancy-tabs>
にスタイルを設定します。
:host-context(.darktheme) {
color: white;
background: black;
}
:host-context()
はテーマの設定に役立ちますが、より優れた方法は、CSS カスタム プロパティを使用してスタイルフックを作成することです。
分散ノードのスタイル設定
::slotted(<compound-selector>)
は、<slot>
に分散されるノードに一致します。
たとえば、ネームバッジ コンポーネントを作成したとしましょう。
<name-badge>
<h2>Eric Bidelman</h2>
<span class="title">
Digital Jedi, <span class="company">Google</span>
</span>
</name-badge>
コンポーネントの Shadow DOM は、ユーザーの <h2>
と .title
にスタイルを設定できます。
<style>
::slotted(h2) {
margin: 0;
font-weight: 300;
color: red;
}
::slotted(.title) {
color: orange;
}
/* DOESN'T WORK (can only select top-level nodes).
::slotted(.company),
::slotted(.title .company) {
text-transform: uppercase;
}
*/
</style>
<slot></slot>
前述したとおり、<slot>
はユーザーの Light DOM は動かしません。ノードが <slot>
に分散されると、<slot>
はその DOM をレンダリングしますが、ノードの実際の位置は変わりません。分散前に適用されていたスタイルは、分散後も引き続き適用されます。ただし、Light DOM が分散された場合は、追加のスタイル(Shadow DOM により定義されたスタイル)を使用できます。
<fancy-tabs>
のより詳細な別の例を以下に示します。
const shadowRoot = this.attachShadow({mode: 'open'});
shadowRoot.innerHTML = `
<style>
#panels {
box-shadow: 0 2px 2px rgba(0, 0, 0, .3);
background: white;
border-radius: 3px;
padding: 16px;
height: 250px;
overflow: auto;
}
#tabs {
display: inline-flex;
-webkit-user-select: none;
user-select: none;
}
#tabsSlot::slotted(*) {
font: 400 16px/22px 'Roboto';
padding: 16px 8px;
...
}
#tabsSlot::slotted([aria-selected="true"]) {
font-weight: 600;
background: white;
box-shadow: none;
}
#panelsSlot::slotted([aria-hidden="true"]) {
display: none;
}
</style>
<div id="tabs">
<slot id="tabsSlot" name="title"></slot>
</div>
<div id="panels">
<slot id="panelsSlot"></slot>
</div>
`;
この例では、タブのタイトル用の名前付きスロットと、タブパネルのコンテンツ用のスロットの 2 つのスロットがあります。ユーザーがタブを選択すると、選択されたタブが太字になり、そのパネルが表示されます。これは、selected
属性を持つ分散ノードを選択することによって行われます。カスタム要素の JS(ここには示していません)は、その属性を適切な時に追加します。
外部からのコンポーネントのスタイル設定
外部からコンポーネントのスタイルを設定するには、いくつかの方法があります。最も簡単な方法は、タグ名をセレクターとして使用することです。
fancy-tabs {
width: 500px;
color: red; /* Note: inheritable CSS properties pierce the shadow DOM boundary. */
}
fancy-tabs:hover {
box-shadow: 0 3px 3px #ccc;
}
外部スタイルは常に、Shadow DOM 内で定義されたスタイルより優先されます。たとえば、ユーザーがセレクター fancy-tabs { width: 500px; }
を作成すると、これがコンポーネントのルール :host { width: 650px;}
より優先されます。
コンポーネント自体にスタイルを設定しても、コンポーネントにしか適用されません。コンポーネントの内部にスタイルを設定するには、どうすればよいでしょうか。これには、CSS カスタム プロパティが必要です。
CSS カスタム プロパティを使用したスタイルフックの作成
コンポーネントの作成者が CSS カスタム プロパティを使用してスタイルフックを提供している場合、ユーザーは内部スタイルを調整できます。概念的には、このアイデアは <slot>
に似ています。ユーザーがオーバーライドできる「スタイル プレースホルダ」を作成するのです。
例 - <fancy-tabs>
を使用すると、ユーザーが背景色をオーバーライドできます。
<!-- main page -->
<style>
fancy-tabs {
margin-bottom: 32px;
--fancy-tabs-bg: black;
}
</style>
<fancy-tabs background>...</fancy-tabs>
その Shadow DOM の内部:
:host([background]) {
background: var(--fancy-tabs-bg, #9E9E9E);
border-radius: 10px;
padding: 10px;
}
この場合、コンポーネントはユーザーが指定した値であるため、black
を背景の値として使用します。それ以外の場合は、デフォルトで #9E9E9E
になります。
高度なトピック
クローズド Shadow ルートの作成(非推奨)
Shadow DOM の別の特長は、「クローズド」モードと呼ばれます。クローズド Shadow ツリーを作成すると、外部の JavaScript はコンポーネントの内部 DOM にアクセスできなくなります。これは、<video>
などのネイティブ要素の動作と似ています。ブラウザは <video>
の Shadow DOM をクローズド モードの Shadow ルートを使用して実装しているため、JavaScript はこの Shadow DOM にアクセスできません。
例 - クローズド Shadow ツリーの作成:
const div = document.createElement('div');
const shadowRoot = div.attachShadow({mode: 'closed'}); // close shadow tree
// div.shadowRoot === null
// shadowRoot.host === div
その他の API もクローズド モードの影響を受けます。
Element.assignedSlot
/TextNode.assignedSlot
はnull
を返します。- Shadow DOM 内の要素に関連付けられているイベントの
Event.composedPath()
は [] を返します。
{mode: 'closed'}
を使用してウェブ コンポーネントを作成すべきではない理由を以下にまとめます。
うわべだけのセキュリティ。攻撃者が
Element.prototype.attachShadow
をハイジャックするのを止めることはできません。クローズド モードでは、カスタム要素コードが独自の Shadow DOM にアクセスできないようにします。これは完全な間違いです。
querySelector()
などの要素を後で使用する必要がある場合は、その参照を隠しておかなければなりません。これはクローズド モードの本来の目的を完全に損なうものです。customElements.define('x-element', class extends HTMLElement { constructor() { super(); // always call super() first in the constructor. this._shadowRoot = this.attachShadow({mode: 'closed'}); this._shadowRoot.innerHTML = '<div class="wrapper"></div>'; } connectedCallback() { // When creating closed shadow trees, you'll need to stash the shadow root // for later if you want to use it again. Kinda pointless. const wrapper = this._shadowRoot.querySelector('.wrapper'); } ... });
クローズド モードでは、エンドユーザーに対するコンポーネントの柔軟性が低下します。ウェブ コンポーネントを作成していると、機能を追加し忘れるときがやってきます。構成オプション。ユーザーが希望するユースケース。内部ノードに適切なスタイルフックを追加し忘れるのは、典型的な例です。クローズド モードでは、ユーザーが既定値をオーバーライドしてスタイルを調整する方法はありません。コンポーネントの内部にアクセスできることは、非常に有用です。コンポーネントにユーザーの希望する機能がない場合、ユーザーは最終的に、コンポーネントをフォークするか、別のコンポーネントを探すか、自分自身でコンポーネントを作成するでしょう。
JS でのスロットの使用
Shadow DOM API は、スロットや分散ノードを使用するためのユーティリティを提供します。これは、カスタム要素を作成するときに役立ちます。
slotchange イベント
slotchange
イベントは、スロットの分散ノードが変更されたときに発生します。たとえば、ユーザーが Light DOM から子を追加または削除した場合です。
const slot = this.shadowRoot.querySelector('#slot');
slot.addEventListener('slotchange', e => {
console.log('light dom children changed!');
});
Light DOM への他の種類の変更を監視するには、要素のコンストラクタで MutationObserver
を設定します。
スロットでレンダリングされる要素
どの要素がスロットに関連付けられているのかを把握しておくと、便利な場合があります。スロットでレンダリングされる要素を確認するには、slot.assignedNodes()
を呼び出します。{flatten: true}
オプションでも、スロットのフォールバック コンテンツが返されます(分散されているノードがない場合)。
例として、次のような Shadow DOM があるとしましょう。
<slot><b>fallback content</b></slot>
用途 | 電話 | 結果 |
---|---|---|
<my-component>コンポーネント テキスト</my-component> | slot.assignedNodes(); |
[component text] |
<my-component></my-component> | slot.assignedNodes(); |
[] |
<my-component></my-component> | slot.assignedNodes({flatten: true}); |
[<b>fallback content</b>] |
要素が割り当てられているスロット
逆の質問に答えることもできます。element.assignedSlot
を使用すると、要素が割り当てられているコンポーネント スロットがわかります。
Shadow DOM イベントモデル
イベントが発生して Shadow DOM の外に出ると、Shadow DOM が提供するカプセル化を維持するように、イベントのターゲットが調整されます。つまり、イベントは、Shadow DOM 内の内部要素ではなく、コンポーネントから発生したかのようにターゲットが再設定されます。イベントによっては、Shadow DOM の外には伝播しないものもあります。
Shadow 境界を越えるイベントは次のとおりです。
- フォーカス イベント:
blur
、focus
、focusin
、focusout
- マウスイベント:
click
、dblclick
、mousedown
、mouseenter
、mousemove
など - ホイール イベント:
wheel
- 入力イベント:
beforeinput
、input
- キーボード イベント:
keydown
、keyup
- コンポジション イベント:
compositionstart
、compositionupdate
、compositionend
- DragEvent:
dragstart
、drag
、dragend
、drop
など
ヒント
Shadow ツリーが開いている場合、event.composedPath()
を呼び出すと、イベントが通過するノードの配列が返されます。
カスタム イベントを使用する
Shadow ツリーの内部ノードで呼び出されるカスタム DOM イベントは、そのイベントが composed: true
フラグを使用して作成されたものでない限り、Shadow 境界の外には出てきません。
// Inside <fancy-tab> custom element class definition:
selectTab() {
const tabs = this.shadowRoot.querySelector('#tabs');
tabs.dispatchEvent(new Event('tab-select', {bubbles: true, composed: true}));
}
composed: false
(デフォルト)の場合は、ユーザーは Shadow ルートの外部でイベントをリッスンできません。
<fancy-tabs></fancy-tabs>
<script>
const tabs = document.querySelector('fancy-tabs');
tabs.addEventListener('tab-select', e => {
// won't fire if `tab-select` wasn't created with `composed: true`.
});
</script>
フォーカスの処理
Shadow DOM のイベントモデルで説明したように、Shadow DOM 内で呼び出されるイベントは、ホスト要素から発生したように調整されます。たとえば、シャドールート内の <input>
をクリックするとします。
<x-focus>
#shadow-root
<input type="text" placeholder="Input inside shadow dom">
focus
イベントは、<input>
ではなく <x-focus>
から発生したかのように見えます。同様に、document.activeElement
は <x-focus>
になります。Shadow ルートが mode:'open'
で作成された場合(クローズド モードを参照)、フォーカスされた内部ノードにもアクセスできます。
document.activeElement.shadowRoot.activeElement // only works with open mode.
出現する Shadow DOM のレベルが複数ある場合は(別のカスタム要素内のカスタム要素など)、activeElement
を検出するために Shadow ルートを再帰的にドリルする必要があります。
function deepActiveElement() {
let a = document.activeElement;
while (a && a.shadowRoot && a.shadowRoot.activeElement) {
a = a.shadowRoot.activeElement;
}
return a;
}
フォーカスの別のオプションとして delegatesFocus: true
オプションがあります。これは、Shadow ツリー内の要素のフォーカス動作を展開します。
- Shadow DOM 内のノードをクリックし、そのノードがフォーカス可能な領域でない場合は、最初のフォーカス可能な領域がフォーカスされます。
- Shadow DOM 内のノードがフォーカスされると、フォーカスされる要素に加え、ホストにも
:focus
が適用されます。
例 - delegatesFocus: true
がフォーカス動作を変更する方法
<style>
:focus {
outline: 2px solid red;
}
</style>
<x-focus></x-focus>
<script>
customElements.define('x-focus', class extends HTMLElement {
constructor() {
super(); // always call super() first in the constructor.
const root = this.attachShadow({mode: 'open', delegatesFocus: true});
root.innerHTML = `
<style>
:host {
display: flex;
border: 1px dotted black;
padding: 16px;
}
:focus {
outline: 2px solid blue;
}
</style>
<div>Clickable Shadow DOM text</div>
<input type="text" placeholder="Input inside shadow dom">`;
// Know the focused element inside shadow DOM:
this.addEventListener('focus', function(e) {
console.log('Active element (inside shadow dom):',
this.shadowRoot.activeElement);
});
}
});
</script>
結果
上記は、<x-focus>
がフォーカスされた場合(ユーザーによるクリック、タブ付き、focus()
など)の結果です。「クリック可能な Shadow DOM テキスト」がクリックされた場合、または内部の <input>
がフォーカスされた場合(autofocus
を含む)。
delegatesFocus: false
を設定した場合は、代わりに以下が表示されます。
ヒントとアドバイス
私は何年にもわたり、ウェブ コンポーネントの作成について学んできました。ここで紹介するおすすめの方法は、コンポーネントの作成や Shadow DOM のデバッグに役立つと思います。
CSS Containment を使用する
通常、ウェブ コンポーネントのレイアウト、スタイル、ペイントはかなり自己完結型です。パフォーマンスを改善するために、:host
で CSS 制限を使用します。
<style>
:host {
display: block;
contain: content; /* Boom. CSS containment FTW. */
}
</style>
継承可能なスタイルのリセット
継承可能なスタイル(background
、color
、font
、line-height
など)は、Shadow DOM でも引き続き継承されます。つまり、これらは既定で Shadow DOM の境界を越えます。新しい状態で開始する必要がある場合は、all: initial;
を使用して、継承可能なスタイルが Shadow 境界を越えたときにスタイルを初期値にリセットします。
<style>
div {
padding: 10px;
background: red;
font-size: 25px;
text-transform: uppercase;
color: white;
}
</style>
<div>
<p>I'm outside the element (big/white)</p>
<my-element>Light DOM content is also affected.</my-element>
<p>I'm outside the element (big/white)</p>
</div>
<script>
const el = document.querySelector('my-element');
el.attachShadow({mode: 'open'}).innerHTML = `
<style>
:host {
all: initial; /* 1st rule so subsequent properties are reset. */
display: block;
background: white;
}
</style>
<p>my-element: all CSS properties are reset to their
initial value using <code>all: initial</code>.</p>
<slot></slot>
`;
</script>
ページで使用されるすべてのカスタム要素の検出
ページで使用されているカスタム要素を検出すると便利な場合があります。これを行うには、ページで使用されているすべての要素の Shadow DOM を再帰的に走査する必要があります。
const allCustomElements = [];
function isCustomElement(el) {
const isAttr = el.getAttribute('is');
// Check for <super-button> and <button is="super-button">.
return el.localName.includes('-') || isAttr && isAttr.includes('-');
}
function findAllCustomElements(nodes) {
for (let i = 0, el; el = nodes[i]; ++i) {
if (isCustomElement(el)) {
allCustomElements.push(el);
}
// If the element has shadow DOM, dig deeper.
if (el.shadowRoot) {
findAllCustomElements(el.shadowRoot.querySelectorAll('*'));
}
}
}
findAllCustomElements(document.querySelectorAll('*'));
<template> からの要素の作成
.innerHTML
を使用して Shadow ルートに値を設定する代わりに、宣言型の <template>
を使用できます。テンプレートは、ウェブ コンポーネントの構造を宣言するために理想的なプレースホルダです。
例については、「カスタム要素: 再利用可能なウェブ コンポーネントの構築」をご覧ください。
履歴とブラウザのサポート
過去数年間にわたりウェブ コンポーネントを使用していれば、しばらく前から Chrome 35+ と Opera に古いバージョンの Shadow DOM が付属していたことをご存じでしょう。Blink はしばらくの間、両方のバージョンのサポートを続けます。v0 仕様では、Shadow ルートを作成するための異なるメソッド(v1 の element.attachShadow
ではなく element.createShadowRoot
)が提供されていました。古いメソッドを呼び出すと、引き続き v0 セマンティックで Shadow ルートが作成されるため、既存の v0 コードに問題は発生しません。
古い v0 の仕様に興味がある場合は、html5rocks の記事(1、2、3)をご覧ください。Shadow DOM v0 と v1 の違いを説明した優れた記事もあります。
ブラウザ サポート
Shadow DOM v1 は、Chrome 53(ステータス)、Opera 40、Safari 10、Firefox 63 に搭載されています。Edge は開発を開始しました。
Shadow DOM の機能を検出するには、attachShadow
が存在するかどうかを確認します。
const supportsShadowDOMV1 = !!HTMLElement.prototype.attachShadow;
ポリフィル
さまざまなブラウザで広くサポートされるようになるまでは、shadydom と shadycss の Polyfill により v1 機能が提供されます。Shady DOM は Shadow DOM の DOM スコープの設定、shadycss Polyfill の CSS カスタム プロパティ、ネイティブ API が提供するスタイルのスコープ設定を模倣します。
Polyfill をインストールします。
bower install --save webcomponents/shadydom
bower install --save webcomponents/shadycss
Polyfill の使用:
function loadScript(src) {
return new Promise(function(resolve, reject) {
const script = document.createElement('script');
script.async = true;
script.src = src;
script.onload = resolve;
script.onerror = reject;
document.head.appendChild(script);
});
}
// Lazy load the polyfill if necessary.
if (!supportsShadowDOMV1) {
loadScript('/bower_components/shadydom/shadydom.min.js')
.then(e => loadScript('/bower_components/shadycss/shadycss.min.js'))
.then(e => {
// Polyfills loaded.
});
} else {
// Native shadow dom v1 support. Go to go!
}
スタイルのシムやスコープの設定方法の詳細については、https://github.com/webcomponents/shadycss#usage をご覧ください。
まとめ
初めて、適切な CSS スコープと DOM スコープを設定し、真のコンポジションを持つ API プリミティブができました。カスタム要素などの他のウェブ コンポーネント API と組み合わせることで、Shadow DOM は、ハックや <iframe>
などの古い要素を使用することなく、真にカプセル化されたコンポーネントを作成する方法を提供します。
誤解しないでください。Shadow DOM は、間違いなく複雑で、使いこなすのは大変です。しかし、努力して使い方を習得するだけの価値はあります。しばらく使ってみてください。使い方を覚えながら、質問してください。
関連情報
- Shadow DOM v1 と v0 の違い
- WebKit ブログの 「Introducing Slot-Based Shadow DOM API」
- Philip Walton の Web Components and the future of Modular CSS
- Google の Web Fundamentals の「カスタム要素: 再利用可能なウェブ コンポーネントの構築」
- Shadow DOM v1 仕様
- カスタム要素 v1 仕様
よくある質問
今すぐ Shadow DOM v1 を使用できますか?
polyfill があれば使用できます。ブラウザのサポートをご覧ください。
Shadow DOM ではどのようなセキュリティ機能が提供されていますか?
Shadow DOM はセキュリティ機能ではありません。これは、CSS のスコープを設定し、DOM ツリーをコンポーネントの中に隠すための軽量なツールです。真のセキュリティ境界が必要な場合は、<iframe>
を使用します。
ウェブ コンポーネントでは Shadow DOM を使用しなければならないのですか?
いいえ。Shadow DOM を使用するウェブ コンポーネントを作成する必要はありません。ただし、Shadow DOM を使用するカスタム要素を作成すると、CSS スコープ、DOM のカプセル化、コンポジションといった機能を利用できるようになります。
開いている Shadow ツリーと閉じた Shadow ツリーの違いは何ですか?
クローズド Shadow ルートをご覧ください。